今回のシャネル(CHANEL)のオートクチュール・コレクションも本当に素晴らしすぎましたよね。去年のデビューコレクションから、ますます磨きがかかって毎回ときめきが止まらない。ファッションの専門家ではない、いち素人の私なのに、どうしても言葉にして残しておきたくなる。それくらい心が動いた。
実際のショーの映像はYouTubeでも公開されていますので、ぜひ見てください
▶︎ CHANEL Fall-Winter 2024/25 Haute Couture Show
1. 複雑な仕掛けはいらない。「服に語らせる」シャネルの潔さ

マチューの手によって、近年のシャネルはぐっと「わかりやすさ」の純度を増してきたように感じています。そしてその「わかりやすさ」の贅沢な引き算でした。
たとえば、ルイ・ヴィトンのメンズコレクションでファレルが展開するような、明快なテーマの底にさらに重層的なナラティブ(物語性)や音楽業界とのコラボレーション、ランウェイショーをエンターテイメントショーに引き上げるアプローチ。ファレルのメンズコレクションが深読みや解釈を誘う仕掛けを幾重にもレイヤードしていく一方で、今のシャネルの佇まいは実に潔いんですよね。
CHANELのオートクチュールのショーで提示されたのは「おとぎ話」、あるいは「植物のモチーフ」という、誰もが一瞬で理解できる極めてシンプルな世界観。そこからさらに余計なストーリーを足し算していくことはしません。
「残りはすべて、服そのものに語らせる」。この迷いのなさにこそ、現代のシャネルの洗練が宿っている気がします。
2. 考え抜かれたカメラワークと年齢を重ねるエレガンス
空間の美しさはさることながら、とりわけ印象的だったのが、緻密に計算されたカメラワークの妙。モデルがウォーキングする一瞬、バストアップで切り取られる絶妙な構図。しっかりとしたカメラ目線。デコラティブな装飾の隙間から覗くような美しいカット割り……。一秒一秒のこだわりが徹底されている。

(音楽に関しては、NYのメディアダールコレクション同様「少し選曲に違和感があるかも?」と感じる瞬間もありました。全体が素晴らしかっただけに、フィナーレ間際の『Kiss Me』の響きだけが、ほんの少し浮いているように感じられた)
しかし、それらのノイズを吹き飛ばすほどに見事だったのが、ランウェイを満たしていたモデルたちの多様性(ダイバーシティ)でした。
2026年1番勢いのあるモデル、アノックヤイのようなトップモデルといった華やかな顔ぶれはもちろんのこと、先のクルーズコレクションに続き、比較的年齢層の高いモデルたちが凛として歩す姿が印象的ではあるが、非常に自然。
まさに「エレガントに歳を重ねる」ということの体現。それぞれのモデルの生き様と、纏うルックが見事なまでに共鳴していました。素材の手触り、テクスチャの陰影、布地の豊かな動き、そして息をのむような刺繍やビーズの数々。ディテールの一つひとつに注がれたこだわりが、素人目にもありありと伝わってくるほどのクオリティでした。
3. 日常に溶け込む「ウェディングドレス」
構成において、ドラマチックだったのがウェディングドレスの配置です。

通常のオートクチュールであれば、ショーのフィナーレを飾るのがお約束ですよね。しかし、今回のシャネルは違いました。物語の中盤にそれを滑り込ませてきたのです。
「特別」の象徴であるはずのウェディングドレスが、日常の地続きとしてランウェイに溶け込んでいく。それはまるで、「日常そのものが特別なおとぎ話であり、その延長線上に結婚式という祝祭がある」と告げられているかのよう。深い意図を完全に読み解くことはできなくとも、新鮮な驚きと感動をもたらす演出でした。
そして、コレクションの最後を締めくくった本当のラストルック。胸元が大胆に開いたデザインでありながら、漂うのはヘルシーで圧倒的なエレガンス。
フィナーレに登場したマチューの、サッと出てきてスマートに去っていくあの潔さも心地よかったです。相変わらずのワークシャツを思わせるカジュアルな着こなしが最高にチャーミングで、これまでのシャネルにはない、新しい風を確かに感じさせてくれました。
4. 対照的なアプローチ:圧倒的な「エンタメ空間」を創り上げたルイ・ヴィトンの熱狂
1章でも少し触れましたが、直近に発表されたファレル・ウィリアムスによるルイ・ヴィトンのメンズコレクションは、まさにその「エンターテインメントショー」の極みでした。
気温40度近い猛暑のパリ。会場に突如として現れたのは、轟々と水が流れ落ちる巨大な「波(滝)」のセットです。ファレルのバックボーンや彼を取り巻くカルチャーなど、解釈を無限に広げるナラティブがこれでもかと織り込まれていました。
ファレルだからこそ実現する音楽、お決まりの壮大な生演奏、叔父がリードしていると噂のゴスペル隊のパフォーマンス。空間全体を巻き込んで、どこを切り取っても即座にメディアの話題をさらうよう完璧に計算され尽くしている。これこそが、今のルイ・ヴィトンが誇る圧倒的な強みであり、もう一つの「わかりやすさ」の正体かと。
5. おわりに:考察のヴィトン、余白のシャネル。私がシャネルに軍配を上げる理由
重層的なストーリー、散りばめられるきっかけやつながり、圧倒的な話題性で世界を巻き込む、ルイ・ヴィトン。
対して、「おとぎ話」というシンプリシティの奥にあるすべてを、服そのものの力だけで語りきった、シャネル。
メンズとウィメンズ、あるいはプレタポルテとオートクチュールという前提の違いはあるにせよ、両メゾンの思想のコントラストはあまりにも鮮やか。
でも、もしどちらかを選ぶとしたら。個人的にはやっぱり、今回のシャネルに軍配を上げたい。それはわかりやすさの中にも残る「余白の美しさ」にあると感じています。
シャネルは「おとぎ話」という誰もが迷わないはっきりとしたテーマを掲げながらも、すべてを雄弁に語り尽くすことはしませんでした。多くを語らず、残りの解釈はあえて服そのものの力に、そして見る側の感性に委ねてくれる。とにかく服が美しい。テーマが明確でありながらも、そこに解釈の幅や奥ゆかしい深みがある。その贅沢な余白に、どうしようもなく惹きつけられてしまうんですよね。

「静かな自信」をポケットに。私のスタンダードな道具のこと。
最後まで読んでくださりありがとうございます。最後に、私が大切に作っているBRB INEX スキンケアバームについて、少しだけお話しさせてください。

私は、超がつくほどの内向的。喋るより書く方が落ち着いて自分の気持ちを伝えられるタイプです。なのに「発言しないならいる意味なし!」「ガンガン前に出てチャンスを掴め!」という外資系のタフな環境に、気づけば10年以上……。仕事では無理やり「外向的スイッチ」をオンにしてサバイブしています。本当の私は、静かな時間を愛する内向的な人間です。MBTI は生粋のI(内向的)
そんな私がこれを作ったきっかけは、自分自身の「自信切れ」の経験からでした。
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