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まだまだ事前予約が必要な美術館各地。またコロナの影響で展示期間が延長になったところもちらほら。有楽町と東京の間にある三菱一号館美術館もその一つ。幸運なことに終了一日前に滑り込み&当日予約で入れた「画家が見たこども展」の見どころを行けなかった人のためにまとめてみました。

ただ、残念なことに館内はフェリックス・ヴァロットンの版画の一部を除き写真撮影NG。それ以外の画像は公式サイトからの転載です。

画家が見たこども展 @三菱一号館美術館

期間:2020/2/15-9/22

公式サイト

https://mimt.jp/kodomo/

(公式サイトより転載)

この展覧会はこどもをテーマにしたナビ派の作品(後半はナビ派の代名詞 ピエール・ボナール祭り)が112点展示されています。

ナビ派とは印象派の技法に限界を感じたゴーギャンの独特な色彩、構図から影響ををうけた複数の画家から結成された流派。また浮世絵の独特の構図にもインスパイアされているため、屏風のようなキャンバスについになって書かれた作品や日本画独特の遠近感で描かれた作風も散見されます。

この展覧会はプロローグ、4つの章、エピローグで構成され、回廊のような三菱一号館美術館の壁に所狭しと作品が飾ってあります。

会期延長期間分の貸し出しがかなわず、ゴーギャンの作品だけが「6月まではこの作品がありました」とむなしくボード展示になっていたこと以外(残念の極み!)は、見ごたえたっぷりの展示会でした。

三菱一号館美術館はナビ派が好きなようで、2017年にも「 オルセーのナビ派展 美の預言者たち―ささやきとざわめき 」という展示を開催していました

プロローグ 「子どもの誕生」

個人的に心を奪われたのはプロローグのパートでのルノワールのサプライズ登場。展示会のキービジュアルはゴッホやボナール推しだったのに、入った最初の部屋に小ぶりだけど圧倒的なあの独特の色彩が。ルノワールを期待していなかったのでうれしさ倍増。やっぱり王道はいいよね。

少女の肖像を描いたその色彩は故カール・ラガーフェルドが手掛けたフランス パリ のグランパレで行われた、ローズガーデンをテーマにした2018年春夏オートクチュールコレクションのような柔らかくて、はかなく、そして綿菓子のように甘美な色彩を彷彿とさせました。

ルック】シャネル2018春夏オートクチュールコレクション | FASHION | FASHION HEADLINE
シャネル2018春夏オートクチュールコレクション @パリ グランパレ

またポスターにもなっているゴッホのキャンバスいっぱいの赤ちゃんの肖像画もプロローグからお目見え。これは破綻したゴーギャンとの共同生活後、精神も不安定になっている往年のゴッホの作品なんですが、その背景を全く感じないくらい。ただその当時は交友関係もほぼ細絶えていて、モデルとなった赤ちゃんは近所で数少ない友達である、郵便配達員の子供だそう。

1.路上の光景、散策する人々

この展示で知ったのですが、ナビ派の画家はほとんどが都市居住者(ある意味シティーボーイ)。そのため描くテーマも街や駅、広場など人が多く、シティスナップのような構図の作品が多かったです。

ここからボナール作品も多数登場しますが、特に素敵だったのが、「パリの朝」という写真。この作品、北九州市立美術館の所蔵だそう。いいセンス。

パリの朝/ピエール・ボナール 北九州市立美術館 公式サイトより転載

画像だとその色彩が伝わらないのが残念ですが、実現はもっとピンクやライラックがにじんでおり、朝焼けと朝霧があいまった、ひんやりと湿度の感じる空気が伝わってきます。〇〇の魔術師という表現はあまりにありきたりで、好きじゃないけど色彩の魔術師といわれるには納得です。

2.都市の公園と家族の庭

シティボーイのナビ派の画家が得意とした、日常の中に近代性と詩情を求める題材は主に、公園や大通りなど人が点在する日常が多かったそうです。

なかでもフェリックス・ヴァロットンの「公園・夕暮れ」という作品もその最たる例。 ただ印象に残っているだけかもしれないですが、 ヨーロッパの夕焼けって日本よりもオレンジが鮮やかなことが多いイメージ。それを体現したような作品がこれでした。写真だと分かりづらいですが夕焼けに照らし出されて人も木々も銅像もオレンジがかっています

フェリックス・ヴァロットン/公園・夕暮れ 公式サイトより転載

3.  家族の情景

後半はますますピエール・ボナールの作品がひしめきます。ボナール自身は子供はいないのですが、妹の子供をかわいがり作品に多数登場します。

蛍光灯とはちがう、温かみがあるオレンジで少しくらいランプに照らされた室内画は特によかったです。

子どもたちの昼食/ピエールボナール 公式サイトより転載

またどの作品も子供をメインに描くのではなく、何歩から後ろに下がり、まるでドアの入り口からのぞき込んでいるような構図が印象的でした。

日常を切り取ったファミリースナップをとるときの構図に似ているかもしれないです。

もう一つのお気に入りがモーリス・ドニの子ども部屋(二つの揺りかご)という作品。姉妹の温かい関係や、窓の向こうの景色の優しさがにじみ出ており、心癒される作品。

モーリス・ドニ /子ども部屋(二つの揺りかご)公式サイトより転載

4. 挿絵と物語

最後のパートではナビ派による子供のための絵本、塗り絵、物語の挿絵などが展示されていました。本格的な油絵だけでなく、塗り絵のような子ども向けの絵の教本もあり子どもへの関心と愛情を感じるパートです。

写真がないのが残念なのですが、中でもボナールのソルフェージュ(楽譜を読むための基礎トレーニング本のようなもの)に添えた表紙や挿絵が素敵で、子どもが使うことを意識してシンプルだけどダイナミックでビビットな輪郭で描かれていました。

2拍子、3拍子、4拍子の指揮の振り方も書いてあり、小学校の音楽の時間を思い出しました。

エピローグ 永遠の子ども時代

ボナールって当時にしては結構長生きで79歳まで制作を続けていたそうです。このころの画風はさらに伸び伸びしており、じいちゃんが描いたとは思えないほど生き生き。コラージュのような要素もあり、シャガールやマティスを彷彿とさせるような作品。

ピエール・ボナール/ 大装飾画、街路風景

こうして怒涛の112点の展示が終了しましたが、とにかく見ごたえがあり、1,700円のチケットの価値は十分にある展示でした。

作品の保護のため、他の美術館よりもさらに照明が暗くなっているので、もっと明るい自然光の元だったらどんなふうに作品が見えるのかな、想像しながら鑑賞しました。

<おまけ:おすすめ本>

もっと知りたいボナール 生涯と作品
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