だれもがスマホで世界中のアートをディグれるようなって、世界中を飛び回らなくても
簡単に手のひらでアートに触れられるようになりました。
一方、あまりも簡単に見ることができるので、実物のアートに対する感動が、ネットで見たやつのホンモノだ~!という確認作業へと変わっていったように感じます。
1950年代にカメラが高価な商売道具から一家に一台買えるようになったとき、特に日本においての普及率が増えたと言われています。
これまで観光名所や有名な絵画を見た際に、どう反応するのかがよくわからなかったけど、
カメラが登場したことでどこに行っても何を見ても「とりあえずシャッターを切れば良し」となったので爆発的に普及したといわれています(どっかで読んだけどうろ覚え。)
もちろんそれだけではなく、この時期の高度経済成長やら交通の発達などでフツーの家庭でも旅行に行くことができるようになったのもカメラ普及の後押しの一つです。
確かに難解なアートを前にどう反応したらいいかわからないときありますよね。
で、とりあえずiPhoneでパシャリ。後日友達と「この前xxxという展示を見に行ったこれまじでわからん~私アートのセンスないのかな~」とカフェでグダグダ~かTwitterやLINEで「アート激むず~」と発信して、芸術鑑賞活動終了。
逆に、教科書に載っているような有名画家の作品が並ぶ展覧会やバスキアのような話題性が復活した現代アートが来日した時はインスタのTLが元ZOZOの前澤さんが所蔵しているブルーのがいこつの写真で埋め尽くされます。
森美術館で2019/11/17まで開催しているバスキア展は数点の作品に限り写真撮影が可能です。試しに調べてみると2019/11/8時点の「#バスキア展」の投稿は1.2万件を超えていました。
閉幕も近い展示なので入場するまでに30分~2時間待ちの日もあるようですが、列に並んでいる間に#バスキア展でこれから見る写真を見てしまったら、ホンモノを見たときはどんな印象なのでしょうか?
私の場合、案の定
(あ。これインスタでみたやつだ)
(これが前澤さんのやつね。インスタでみたとおりだ~!)
と、アートのもつオーラを感じるとることができませんでした。
しかしこの展覧会のミソは写真が取れるのは数点だけなので、ほとんどは初めて見る作品です。
しかも中世絵画のような図像学に基づいて、構図や、配色、宗教テーマがびしっと決まっている作品など一枚もなく、まったく未知のアートでした。
ノートに書きなぐった言葉も、独特の筆跡も新鮮で、久しぶりに見たことない絵をみて感動するという体験をしました。
荒々しくて反骨精神がにじみ出る作品や、ひたすら自分の好きな人(それは時にジャズの名匠ルイ・アームストロングだったり)や言葉を書きなぐったり、急成長する日本製品にこめられたMADE IN USAはこのままでいいのか?という批判など、一枚一枚の印象も違います。
MADE IN JAPAN を批判されている作品を見るために2000円ちょっとのお金を払って、「なんて面白いアートだ!」「おりがみって書いてある~」と受け止めるのって、考えてみるとすごく不思議な構図ですよね。バスキアが生きてたら怒りそう。。
基本的に構図がめちゃめちゃの作品ばっかりなのですが、一枚だけ構図と配色がビシッときまっている作品が。
よくみるとアンディ・ウォーホールとのコラボ作品!
なんだよ!こんなの初めてみたよ~。なんだこの計算されつくしたポップアートとバスキアのアングラの融合は!!!
とめちゃめちゃ、グッときました。
残念ながら撮影不可ですが、脳裏に残る鮮烈な印象は今でも残っています。
これ以外にも作品のディテールまでは思い出せないけど「なんだよこれ~(ポジティブな意味)」という鮮烈な衝撃は今でもその感覚が残っているから不思議。
スマホはポケットにしまって全身で堪能したい展覧会です。
ただ、他の人がパシャパシャスマホでとっていると、自分も思わず(ここは何かのために一枚とっておくか。。)とポケットからiPhoneを取り出した自分にちょっとがっかりしました笑
バスキア展