<話題の韓国エッセイ>女ふたり、暮らしています。は何度も読みたくなるチル感

韓国ドラマと同じくらいスポットライトが当たっている韓国文学・エッセイ

82年生まれ、キム・ジョンあやうく一生懸命生きるところだった、のようにジェンダーや暗黙の社会的なルールに一石を投じる作品が本屋のベストセラーに並んでいることが多いけど、自分のエネルギーが摩耗しているときには敬遠しがち。

肩ひじ張らずにゆるりと読めるエッセイを探してたところ、「女ふたり、暮らしています。」がとても心地良かったので紹介します。

まず声を大にして言いたいのは、この本はジェンダー論本ではないということ!

あらすじは独身猫ありの40代の女性同士が2人で家を買い(!)暮していく過程を描いたエッセイ。二人の関係は恋人同士ではなく、友達として暮らしているのだ。面白いのが共著だが2人で一つの文章を書くのではなく、キム・ハナとファン・ソヌそれぞれの視点で書かれた短いエッセイの集合が1冊の本になっているというところ。

時系列は大体同じなので、その時の出来事(例えばローンを組んで家を買った日のこと)をそれぞれの視点で書いている。人が違えば視点も違うので、同じ出来事一つとってもキム・ハナ、ファン・ソヌそれぞれの立場から、それぞれの言葉のリズムで記されているし、そしてなにより翻訳が本当に自然!

結婚を選択しなかった人生としてジェンダー論や日本にもあるような父権的な文化に対して意見を述べている箇所もあるが、多くのジェンダー本と違うのが、いい意味でのゆるさがあるというところ。

ジェンダー論を展開している本は、もちろん当事者目線で書かれており、①ジェンダーバイアスで直面したネガティブな出来事の詳細、②それに対する筆者の思いや心情がリアルにつづられ、③ネガティブな出来事から立ち直る過程、④筆者の行動の変化や社会への提言、という流れが多くあるが、感受性と想像力が豊かな人や同じような経験をしてきた人にとっては追体験のダメージが大きすぎて、③④でスカッと発散できる前にHPを消耗してしまう。

さらに1冊の本を隙間時間に少しずつ読み進めている人には、③④で発散する前に、本を閉じざるを得ない場合が多いので、「うわ~いやだなぁ」とか「私もこんなネガティブな経験あったな~」でその時は終わってしまう。

もちろんそれも含め目的をもって読んでいるならいいのだが、私のように気分転換で本を手に取っている場合にはかなり重い。。

その点において、この本はいい意味で軽い。ネガティブな経験を書いているエピソードもあるが、1パートが短いのと、かくあるべきだ!!というところまではなしが発展しないので、後味がスッキリしている。

タイトルからはジェンダー論を終始展開するように見えるけど、実際はこれまで別々に暮らしてきた友達同士が一緒に暮らす過程に焦点をおいた「暮して」のエッセイ。知り合いのおしゃべりに相づちを打つようにページをめくる感覚で読めるので隙間時間での読書にも最適。

そして合間にちりばめられているイラストや二人の暮らしの写真(4匹の猫の紹介も含む)がまたいいんだよな~

韓国文学が流行っているからとか、ジェンダー本が話題だからではなく、湯船につかりながら、電車に揺られながら、またはコーヒー片手にまったり読める1冊

私はかれこれ3周目~!気になる方はぜひポチってみてください

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